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これはいかん。昨日ドアに鍵を閉めるの忘れていたのか。
しかし、鍵が開いていたとしても勝手に入ってくる奴なんていないでしょうな、えぇ。
ところがいるんだ。
お隣さんで、私達と特に仲がいい二人組。中井遥菜と早乙女佑奈。
見られた。二人とも口ポカンと開けて、目が点になってる。そりゃそうだ。親友が知らない男に押し倒されてんだから。
その男が本当はよく知るもう一人の親友だというのにも気付かずに……、
「てめぇっ!!唯に何してんだぁぁぁあ────!!!!」
「うげぷううううううううう!!!」
腹に思い切り蹴りを入れる遥菜サン。前から暴力振るわれてたけど、今回は違うねぇ。怒りが込められてていつもの倍以上痛いよ。
実際物凄い力を入れたんだろう、肩で息をしてる。
もう一人はすぐに唯の元へ駆け寄り、『大丈夫?』とか言って身を案じてくれてる。
おっとりしていてとっても優しい眼鏡っ娘の佑奈サン。でも本当はこういうキャラが一番怖いんだよなぁ……。
「朝っぱらから騒がしいと思って来てみたら……、あたしの勘は間違ってなかった!でしょ、佑奈!?」
「う、うん……。でも、天がいないよ?」
「そういえば、何処に行った?まさか死んだ……」
「あー。当たらずとも遠からず、かな」
唯の囁きが聞こえたようで、二人は同時に唯を見た。
意味が分からない、って顔してる。頭の周りに『?』がたくさんだ。
「さっき遥菜が蹴り飛ばしたよ……」
「……まさか……?」
今度は一斉に私を見る二人。腹を押さえて踞った状態で、痛みのあまり目が開けられないけど頑張って開いてみる(唯が『目は変わってない』って言ってたし……)。
頑張って笑顔も作ってみる。
声が出ないけど、頑張って振り絞る。
「お……おはよう、は……るな……、ゆう……な……」
声が掠れてる。仕方ない。息吸うだけで腹が痛いんだから。
そんな私を見て唯はあちゃーって顔して、遥菜と佑奈はまた口をポカンと開けて、目は飛び出そうなくらい開いていた。
「「えええええぇぇぇぇ────!!!!!?」」
遥菜はもちろん、おとなしい佑奈も叫んでいた。
やっぱ驚くよな~。私もかなり驚いたし。
あーあ、鼓膜も破れそうだよ。
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