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「やったあああっ!!」
「へぶッ!!」
奇声にも似た喜びの声を上げながら愛流は晶に抱き着いた。顔面を両腕でロックし、逃がさないようにする。
そして、晶の顔面は女の子特有のバストに埋める。バストには自信がある愛流の胸に挟まれる晶の顔面。
「へぶへあぶーッ!!」
最早、何を言っているのかは定かではないが、声の質量からして、苦しみもがいてるようだ。
酸素を。俺に新鮮な酸素をおくれ、と切に願う晶。
「あっ! ……お兄、ちゃん。息が……服を通って……!」
息を荒くする愛流。
息をさせてくれ、酸素を、と愛流の胸の中で願う晶。
「……あっ、ごめん。それじゃ息、出来ないね」
「ブファッ!!」
酸欠の一歩手前の晶は、陸に上がった魚のように口を何度も開け閉めしながら、酸素を肺に吸入する。
「こ、殺す気かッ!!」
「ごめんね?」
舌を出しながら謝る愛流。
そんな愛流に別段、悪気があったわけでもなく晶は「気を付けろよ」と、だけ言って、また聖嶺学園からの文書に目を落とす。
「でも、どうして?」
晶と同じ疑問を愛流は晶に質問した。
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