Ⅰ.錬金術師

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ティーラはテレビに指をさしたまま石像のように動かなかった。 いや、動けなかったと言うべきか。 テレビはセイラと同じ顔、髪の毛の色、瞳の色の少女が映っていた。 <金髪の少女誘拐事件の8人目の被害者で…> 「事件に巻き込まれ…た?」 ティーラは焦っているようだ。 「どうした?王族の事と何か関係あるのか?」 エージュもティーラの秘密を知っている。 「分からないけど、調べる価値はありそう」 ティーラは口を三日月のように吊り上げる。 「俺も手伝おう」 「有難う、エージュ」 ティーラとエージュはコクリと頷くその場を去って行く。 この事件が罠だとも知らずに―――…。 夜が来た。 殆んどの家は暗い。 「エージュ、大丈夫なの?」 「何がだ?」 暗闇に溶け込んでいるかのようにエージュが見えない。 「その…人殺しするかも知れないし。もしかしたら…その、えーと…エージュが死んじゃうかも知れないし…」 ティーラの顔は良く見えないが、多分真っ赤になっているだろう。 「…有難う。大丈夫さ。自分の身は自分で守るさ」 エージュは満月を見る。 「うん。そうだね。むぐっ!?」 ティーラの口がいきなり誰かの手で塞がれた。 「しー。誰か来るぜ」 エージュだった。 「む!?(え!?)」 屋根の上に居る二人の
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