Ⅰ.錬金術師

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下を通る影が見えた。 「俺達に気付いてねぇみたいだぜ?」 人影は人が全く通らない裏道を通っている。 何かを引きずる音と共に。 「ねぇ、あの大きな白い袋なんだろう?」 ティーラが指をさす袋は、何か見覚えのある形をしていた。 「人間が入ってるとか言わねえよな?」 エージュの瞳は父親の実験台となり、透視能力を持ってしまったのだ。 「う、わぁ。あいつらだぜ。事件の犯人」 「え?え??じゃあ…あの中に入ってるのって人?」 ティーラは瞳を丸くする。 「ああ。暗くて良く見えねぇが、女の子だ。…あれ?」 エージュは考え込む。 「女の子って!?まさか、セイラって事ないよね?」 「いや。可能性はある!」 エージュは足に力を入れる。 「待って!私が行くから」 ティーラは上着をエージュに渡し、白衣のポケットから伊達眼鏡を取り、付ける。 「何してるの?君達」 男、二人が振り向く。 「なんだぁ?この小娘は?俺達の邪魔すんなら金髪じゃねぇが、体を切り裂いてやる」 ダニ声の男が笑いながら話す。 「ねぇ、知ってるかい?王族狩りが大好きな少女の事」 ティーラはショートヘアを揺らす。 「俺達と組めば沢山殺れるのになぁ。俺達と同類…がぁッ!?」 大柄な男が後ろへ突き飛ばされる。
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