3/4
前へ
/28ページ
次へ
「ジーン!ねぇ、ジーンってばぁ!!」 屋根の上で寝ている少年を揺さぶる少女は笑顔だ。 「うわっ。何だよ。落ちるだろう?」 青色の長い前髪を揺らして少女を見上げる。 「だって、だって!!僕やっと、一人前の魔術師になったんだよ!?」 少女は淡い黄色のショートヘアを揺らす。 「俺言ったよね?ティーラには向いてないって。姉さんも言ってたろ?」 ジーンは「はぁ」と溜め息を溢す。 「で、でもさ、才能が無くたって出来るんだよ!?」 ティーラは腕を大きく振る。 「…どうなっても知らないよ」 ジーンはぷいっと、そっぽを向いた。 こんな微笑ましい時間はいつまでも続くと思っていた。 一週間が経った事。 街に異変が起きた。 二人は目を疑う程だった。 街が燃えていた。 二人は先生の言葉を聞かず街へ向かった。 そこで見たものは、『死』だった。 こんな地獄のような風景になったのも、自己中心的な考えしか持たない王族のせいだ。 それから、王族を憎み、悪夢のような世界に入ったのだ。 そんな、事件から6年。 王族殺しが発生し、人々を苦しめている。 しかし、人々の中には二人を『救いの神』と呼ぶ者も少なくない。 二人の行為は人では出来ない。 つまり、何かに囚われているのだ。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加