Ⅰ.錬金術師

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雨が降っている。 だが、建物の中には全く聞こえない。 「ふぅん。結構良い家に住んでんのね。ここの王族は」 何も無く、ただ大きく広い。 「無駄に広いね~。これじゃあ、僕が有利になるだけ♪」 少女は辺りを見渡す。 物音一つ無い空間に靴音が響く。 「誰?」 少女は静かに問う。 「貴女こそ。部外者では?」 柱の陰からモデルのような長身の女性が出て来た。 「貴女は誰ですか?」 女性は少女に問う。 「科学者とだけ答えておくよ」 少女はひらひらと手を振る。 「フザけた事を!!」 女性は黒い瞳を少女の眼鏡越しの淡い黄色の瞳を見る。 少女はただ、その視線を受け取るだけ。 少女はいきなり笑い出す。 「何がおかしいの?」 女性は少女を睨む。 「だって貴女、面白いんだもん」 少女はお腹を抱えて笑う。 「何が面白いの!?本気で殺―…」 女性は固まった。 「だって、貴女がここに住んでる王妃でしょ?僕を騙そうだなんてさぁ」 少女は女性をある場所に追い込む。 「きゃあああ!」 いきなり柱が倒れて来た。 「バチカン第二王妃バナリタ・ダタン。今から貴様の処刑を始める」 少女の瞳は怪しく光る。 「う…ごほっ」 バナリタは血を吐く。
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