Ⅰ.錬金術師

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内臓が傷付けられたのだろう。 「フフフ。ほら、早く抜け出さないと死んじゃうよ?…まぁ、ある事を教えてくれるなら、助けてあげても良いかなぁ~?」 少女はバナリタの目の前にしゃがむ。 「…ある、事…?」 バナリタは苦しそうに少女を見上げる。 「そ。ロゼ・ダタンの事について」 少女はにこっと笑う。 「ロゼ…?ぁあ、姉様の事…。姉様は、バチカンの一番大きな白に住んでいる」 バナリタは笑う。 「有難うね、王妃様。特別に僕の名前を教えてあげる」 少女は立ち上がる。 「名前?」 「そ、名前。僕の名前はティーラ」 ティーラと名乗った少女はくるりとバナリタに背を向ける。 「あら?何処に行くの?敵に名乗った上に、背を向けるなんて」 バナリタは妖しく笑う。 「殺され無いから背を向けてるの」 ティーラはポケット小瓶を出す。 「何をする気…?」 「僕は科学者だよ?実験だよ。じ・っ・け・ん」 キュポン 小瓶の蓋を取り、中に入っている液体をバナリタにかける。 「人間の脂肪+油に火付けたらどうなるかな?」 シュッ ボッ 危ない笑みを浮かべながらマッチに火を付け、バナリタに落とす。 火がバナリタを包む。 「っ…!!!」 バナリタは声にならない悲鳴をあげる。 翌日、柱の下敷になった焼死体が発見された。
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