Ⅰ.錬金術師

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「…あれがティーラか。思っていたより凄腕の科学者だな」 何かが動き、消えた。 「…?何かいた?見られちゃったかな?まぁ…良いや。どうせ正体バレちゃうだろうしさ~。それに、正体が女子どもで凄腕の科学者って知ったら…フフフ♪」 ティーラは笑いながら街を歩く。 「そこの君…お嬢さん」 ティーラはうんざりした顔で振り向く。 「はい?なんですか?僕忙しい…」 「貴女が『救いの神』だろう?」 男の言葉に表情を"無"にする。 「何が目的?」 「魔術師の事が知りたい」 「却下」 ティーラは即否定する。 「僕はね、魔術師に知り合いなんていないの。バイバイ、マント男さん」 ティーラは男の言葉を聞かず立ち去る。 「なんだよ…。冷たい奴だなぁ。久しぶりの再会なのに」 男は呪文を唱えると、炎が散ったように消えた。 ティーラに不幸が来るとは思って無かっただろう…。 翌日とんでもない事が起きた。 いつものようにテレビをつけて、いつものようにニュースを見る。 「んなぁー!?」 ティーラは勢い良く椅子を倒して立ち上がる。 「どうしたの?姉貴」 ティーラの向かいに座っている少年は姉の叫びを聞いて驚く。 「なんでニュースに僕の姿が…!?」 テレビ画面に、ティーラの姿が映っていた。
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