遺品1<傘>

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遺品店を出てから5分程経った時、信号にひっかかった。 ただ走り過ぎて行く車をボーと見ているとポケットの中で携帯が鳴る。 メールらしい。 …送信者… 百合 百合から?いったいどうしたんだ? なかなか娘からメールを貰うことはないから嬉しい気持ちと、不安な気持ちが入り混じる。 胸をドキドキさせながらメールを開いてみる。 《誕生日おめでとう!!今日から35歳だね(´∀`) みんな家でまだかまだかと待ちわびてるから早く帰って来てね(^ε^)-☆Chu!!》 涙が出そうになった。 最近はなかなか話もしてもらえなかったから尚更だ。 《ありがと(^O^) あと少しで家に着くからお母さんにもそう伝えてて(^O^)/》 そう返事を返した後ゆっくりと携帯を閉じた。 幸せな気持ちで死んでしまいそうだった。 アパートの我が家はもう見えている。 あと少しで家に帰れる、いつもとは違う、家に帰れる幸せが頭の中を埋め尽くしていた。 『お母さん』
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