遺品1<傘>

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グニャリ 次は目の前の景色が歪んで来た。 それと同時に呼吸がしずらくなる。 「嘘だろ………なんなんだよ……」 突然起こった訳のわからない出来事に頭はパニックになる。 パニックになっていく頭の中を追い込む様に景色の歪みと呼吸のしにくさは激しさを増していく。 「なんで?…………なんか俺がしたか?………いつも通り起きて、会社に行って、一生懸命仕事をして、いつも通り帰……………」 一つだけいつも通りとは違うものがあったのに気づいた。 その気づいたことが今起きていることと関係があるという証拠はないがそれしか考えれなかった。 「あの店だ………」 遺品店に寄ったことだけがいつもとは違うことだった。 それに気づいた瞬間、いままでは辛うじて出来ていた呼吸がとうとう出来ないくらいになった。 頭の中に《死》の文字が浮かび上がる。それと同時に愛しき家族の笑顔も浮かび上がる。 「死んでたまるかよ……家に………帰らなきゃいけないんだ……娘が……嫁が待ってるんだ……あと…少しなのに……………あと少しなのに…………」 ピチャピチャピチャピチャ プープープーーーー!! キキーーードンッ!!
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