第二声

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―――暗い暗い闇の中。 その空気はひんやりと冷えきっていた。 苦しい…辛い… それだけが頭に浮かぶ。 「貴方を…助けてあげましょうか?」 黄金に輝く髪色に、一瞬見惚れた。 「出たい…助けて…」 「いいでしょう。その代わり…」 ニコリと微笑むその顔は暖かいような冷たいような。 「私の娘を護りなさい。」 「…はい。」 「グラディスよ。解放してあげる…」 ―――― グラディスは慌てて目が覚めた。 「…夢か…」 朝の空気の冷たさに身震いをして。 「…女神様…」 キュッと拳を握り、起き上がる。 ベッドを覗けば、愛する人の愛する娘。 「悪魔が神に惚れるなんて…」 娘の髪色は母には似ず、何故か漆黒で、短いが、サラサラとした、触り心地の良い髪だった。 「…ぅん…グラディスか?」 「おはようございます。姫。」 「クっ…民間人のベッドはあまり柔らかくないな…背中が少し痛む。」 「さすりましょうか?」 「…その発言、セクハラで訴えるぞ。」
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