第二声

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「あっちじゃないですか?」 グラディスは指をさした。 「おい。」 「あ、ユランさん!」 「アルウ゛ェ…」 深緑の警備服はショートパンツで、同じ色の帽子には彼女が隊長である証に、十字をかたどったエンブレムが付いていた。 翡翠色の髪と瞳はグラディスとロザリオを一瞬見惚れさせた。 「何をしておるのじゃ。馬鹿者と姫。」 「ば…っ!」 馬鹿呼ばわりさせれたグラディスを押さえ、ロザリオは口を開く。 「今から貴様に会いに行こうと思っていた。」 「なんのようじゃ。」 「私は正式にアルマール国の国王、ギルダー殿にスディリチア国の次期女王に推薦していただくのだ。」 「なるほどのぅ。母上が亡くなられてまだ日が浅いにもかかわらず…か。」 「うるさいぞ。アルウ゛ェ。」 「ユランさん、姫は女王になるべく生まれたお方ですから。」 「馬鹿者め。貴様らに勝手に行動されると困るのじゃ。」 「何故だ。」 「今、アルマール国は治安が悪いのじゃ。そこに一国の姫がこんなヒヨッコと二人なんて、姫に何かあったら、我等はどうすれば良いのじゃ。」
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