第一声

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月が照らすのは、満月湖と言われる湖。 その湖はなにせ形が満月のように丸く、満月が出る夜は、真ん中に満月が浮かび上がるから。 上弦の月である今宵に、満月湖に人影あり。 ちょうど首が隠れるだけの短い髪に、横の毛は垂らした漆黒の髪。 華奢な体からは想像できない豊かな胸をさらけ出し、長い睫を水で濡らす。 彼女は水浴びをしていた。 「…綺麗な水」 水を両手で掬い、こくりと飲めば、渇いた喉はうるわされる。 「……っ!」 彼女は何かに気付き、後ろを振り返る。 「…グラディスか」 「…ロザリオ姫こんなところにいたのですか。」 「…初めから知っていたくせに。」
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