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「神さま、助けて下さい!」
男の子は叫びました。
しかし、神は、それを見て見ないふりをしていました。
もし、神が居るのなら、先のニュースにあったように、小学生の男の子が山中で迷って死にそうになっていたのを、どうして助けなかったのでしょうか?
憤りを覚えます。
結局、男の子は死んでしまいました。どんな気持ちで、死んで行ったか解りますか?
「神さま、助けて下さい。ぼくを助けて! おうちに帰りたいんです。パパとママに会わせて下さい。神さま、お願いします!」
男の子は泣きながら必死に歩きました。木の陰からどんな獣が飛び出して来るかも解らない。そんな状況に怯えながらも、しかし、じっとしてはいられません。
とにかく帰らなくちゃ。怖くても、疲れても、腹ぺこでも、歩かなくちゃ。ああ、でも、足が痛くなってきた。いつまで歩けばいいんだろう?
やがて男の子は歩き疲れて、倒れました。起き上がろうとするのですが、力が出ません。男の子は悔し涙を流しながら横たわりました。
薄れ行く意識の中で、男の子は考えました。ぼくは悪い子だったのだろうか?
「神さま、ぼくは悪い子でした。ママの言うことを聞きませんでした。ごめんなさい。これから、良い子になります。お手伝いもします。勉強も一生懸命やります。だからお願いです。ぼくを助けて下さい。神さま、寒いんです。助けて下さい。神さま助けて……」
男の子は必死に、そう願いながら死んで行ったのです。
本文より
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