神と悪魔

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「おおっ、なんという暴言を! 神よお許し下さい」と思わず呟いてしまった方。そして、「こ、これは! 神をも恐れぬ悪魔の所業じゃ」と感じてしまった方は、ここで立ち止まって下さい。  貴方は、とても神経質な……いえ、極めて繊細な感性の持ち主です。  実は、悪魔などハナっから居ないのです。それは最初から神など居ないのと同様に、人間の願望がつくり出した虚像であり、仮想の敵であるからです。  祈りによって、この苦境を救って欲しい。  絶対的な正義の力で、あの悪いヤツを懲らしめて欲しい。  実は、こうした人間の願望が、『絶大な力を有する神』という偶像を考え出したのです。  悪魔とは、神の正義の力を証明する為に、悪役として登場し、主役に、こっぴどく、やっつけられなくてはならない存在なのです。  引き立て役として、とても重要な役割分担です。  勿論、悪魔などと言うのは虚構(つくり話)です。  なんだったら、悪魔とやらを、この場でどやしつけてみせましょうか? 「こらあ! 悪魔め! 罪もない人を脅かすんじゃない! お前なんぞ世の中の為にならないから消え失せろ!」  ほらねっ、なんでもないでしょう。  悪魔なんて居ないんですから。
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