面倒な日々の始まり

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部屋に戻ってきた、だが意識がハッキリしない。 食べたカロリーメイトは空腹を満たすどころか腹減りを更に促進していた。 寝ちゃいなよ、寝たら楽になるよ―――。と睡魔が囁き掛ける。 本気でヤバい、睡魔と空腹のニ重攻撃は本当にえぐ過ぎる。意識の果てが見えてきた。こうなったら―――――。 ガコォン!! 「……いってー!!!」 痛いのを覚悟し、琢磨は机に頭突きした。 その瞬間、痛みを伴って電流にも似たような衝撃が全身を駆け廻った。 それは脳を強制的に覚醒させ、一気に体内のあらゆる機関のエンジンを掛けた。 客観的に見れば変な行為でしかない、だが十分な効果はもたらしてくれた。 「宿題やるべ」 目ヤニが付いた目を擦りながら、琢磨は椅子に座った。 ~・~・~・~・~・~・~ 「えっと…この確率は…こうやってこうで…」 数学の問題という仕掛けを公式というツールで一つ一つ解除(と)いた。 見る見るうちに、課題になっていたプリントの空欄は黒で埋まった。 「やっと宿題終わった…」 午前7時28分と指し示すデジタルの壁掛け時計を見ながら、琢磨は溜め息をついた。 やっとこっからは“本当”の夏休み、琢磨は何をして過ごそうか考えた。 高校生向け短期バイトもいいが、この休みを休んで思い切り満喫するのもいい。 どこかへアウトドアに行くのもいい。 夏休みの彼を縛る物はもうない、考えれば考えるだけ色々なことが考えついた。 「お兄ちゃーん、朝ごはんできたよー」 下のリビングから弟が呼んだ。 計画を考えることはいつでもできる、琢磨は部屋を出、階段を下りた。
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