73人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に戻ってきた、だが意識がハッキリしない。
食べたカロリーメイトは空腹を満たすどころか腹減りを更に促進していた。
寝ちゃいなよ、寝たら楽になるよ―――。と睡魔が囁き掛ける。
本気でヤバい、睡魔と空腹のニ重攻撃は本当にえぐ過ぎる。意識の果てが見えてきた。こうなったら―――――。
ガコォン!!
「……いってー!!!」
痛いのを覚悟し、琢磨は机に頭突きした。
その瞬間、痛みを伴って電流にも似たような衝撃が全身を駆け廻った。
それは脳を強制的に覚醒させ、一気に体内のあらゆる機関のエンジンを掛けた。
客観的に見れば変な行為でしかない、だが十分な効果はもたらしてくれた。
「宿題やるべ」
目ヤニが付いた目を擦りながら、琢磨は椅子に座った。
~・~・~・~・~・~・~
「えっと…この確率は…こうやってこうで…」
数学の問題という仕掛けを公式というツールで一つ一つ解除(と)いた。
見る見るうちに、課題になっていたプリントの空欄は黒で埋まった。
「やっと宿題終わった…」
午前7時28分と指し示すデジタルの壁掛け時計を見ながら、琢磨は溜め息をついた。
やっとこっからは“本当”の夏休み、琢磨は何をして過ごそうか考えた。
高校生向け短期バイトもいいが、この休みを休んで思い切り満喫するのもいい。
どこかへアウトドアに行くのもいい。
夏休みの彼を縛る物はもうない、考えれば考えるだけ色々なことが考えついた。
「お兄ちゃーん、朝ごはんできたよー」
下のリビングから弟が呼んだ。
計画を考えることはいつでもできる、琢磨は部屋を出、階段を下りた。
最初のコメントを投稿しよう!