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「助けろよな!」
「痛っ?!」
並んで廊下を歩いていると、なんの前触れもなくリリィに殴られた
「な、なんで殴るんスか?」
「お前があたしを助けなかったからだろ」
そう言ってズカズカと歩いていってしまう
むくれている様子は小さな子供のようで可愛らしいが、すぐ手が出るのはいかがなものか
それでも、少し進んだところで足を止めてエイジを待ってくれる辺りリリィも悪いとは思っているのだ
感情表現が不器用なだけで、彼女は根は素直で優しい
「なにしてんだよ。早く行くぞ」
「今いくッス!」
出会ってまだ数日の相棒だが、エイジは不思議な心地よさを感じていた
「で、オレたちは風紀委員会室までやってきたわけッスけど」
「誰に説明してんだよ?」
二人は、風紀委員会の活動拠点である西棟の一室に来ていた
ある人に会うために部屋を訪れたのだが、その人はおろか室内に誰の姿もない
「おかしいッスね。いつもなら必ず誰かいるのに」
「全員で昼寝でもしてんじゃないのか」
数日前に転校してきたばかりだというのに、リリィは我が物顔で室内を闊歩し物色している
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