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風紀委員室での用を終えて教室に帰ってきたエイジとリリィ
席に座った途端、近づいてきた人物がいた
「やー、二人ともおはよー。今日もかぁいいねー」
「もうすぐ昼休みッスよ」
頭の上でひょこひょこと揺れるアンテナのような髪の毛
彼女は天見愛流。エイジたちの同級生にして友人
そして仲間として行動を共にする魔法少女の一人だ
「可愛いゆうなっ」
「リリィ、逆効果ッス」
愛流に頭を撫でられてそれに反抗する姿は、良くも悪くも可愛らしい
ほら、周りでクラスメイト達が騒いでいる。こうなることが分かっているのでエイジはあえて何も言わない
代わりに心の中で涙を流しておく
「昨日は大変だったね?」
「そんな他人事みたいに……。一番は愛流だろ? 囮なんて危ない役、今日になって痛くなったところとかないッスか?」
決着の後、確認した時には目立った怪我はないようだったが、翌日になって痛み出すことがないわけではない
それが心配だったのだが、どうやら杞憂だったらしい
「だいじょうぶ大丈夫。わたしは全然、なんともないよー」
能天気な笑顔で元気さをアピールする少女は、申告通り問題ないようだった
「強いてゆうなら筋肉痛かな?」
「ふんっ、ちょっと走ったくらいで情けないな」
「なんでそんなに偉そうなんスか……」
リリィは大体誰に対しても物怖じせず、こんな物言いをする
愛流や司は笑顔で返してくれるが、相棒のそんなところがエイジの悩みの種だった
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