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「ひかるじゃないッスか」
エイジが顔を綻ばせて手を上げると、声をかけてきた人物──曽根川ひかるはぺこりと頭を下げた
「こんにちは。神崎さんと天見さんもこんにちは」
ひかるの挨拶にリリィはぬいぐるみを抱いて不機嫌そうに「ああ」とだけ返す
「ひかるちゃんだー、元気かなっ?」
「はい、おかげ様で。なんですか、その猫耳?」
「これはねー、エイジくん……じゃなかった、さっきゲームで取ったんだぁ」
む、聞き捨てならない言葉が。猫の時なら間違いなく耳がピクリと動いていただろう
「わー、可愛い! 神崎さんの猫ちゃんもそうなんですか?」
「あ、ああ」
なんでリリィはこう人付き合いが不器用なんだろうか
後輩にあたるひかるにも警戒しているのか、逃げる寸前の猫みたいだ
「ひかるはどうしたッスか? 買い物?」
相棒に助け舟をだしてやることにして、ひかるが手ぶらなのが気になった
「あ……えっと、いえ」
そんな素朴な疑問に対して、ひかるは答えにくそうに身じろぎする
「?」
一様に疑問符を浮かべるエイジたちに何度か視線をさ迷わせて、両手をもじもじと絡ませていた
「……上之宮さんに、呼ばれて」
「「ああー」」
言いづらそうに告げられた一言にエイジと愛流はそろって納得の声を上げた
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