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「まだ勝負が決したわけではありません。勝つのは私よ」
圧倒的不利にも関わらず、玲菜に動揺はない
むしろ毅然と立つその姿は自信に満ち溢れていた
「ならここでその心を打ち砕いてやるよ。這いつくばって負けを認めさせてやる!」
「またあんなこと言って……女の子なんスから」
「あはは。エイジさん、お父さんみたいなこと言いますね」
再開する戦いを見ながら頭の上でひかるが笑うので、エイジは抱えられたまま反論する
「お父さんはないッスよ……せめてお兄さんくらいで!」
「エイジさんみたいに優しいお兄さんなら、ボクもほしいな」
猫は耳が良い。変身したエイジの耳もまた同じく
ひかるの声に微かに込められた思いを感じた気がして、エイジはその顔を見上げた
「やっぱり、寂しいッスか?」
「……はい。家族は、みんな一緒の方がいいです」
それが、ひかるの願いだ
散らばってしまった家族とまた一緒に
そんな願いを胸に、彼女は巻き込まれながらもこの魔法のゲームに参加している
「叶うッスよ。こんなに頑張ってるんだから」
「だと、いいです。それなら、皆さんの願いもきっと」
このゲームは、来たる時までに星の欠片を最も多く集めたものが勝者となる
そして勝者の願いはそれがどんなことでも叶えられるという
みんな、それぞれに願いを持ってこの戦いに臨んでいるのだ
リリィも、愛流も。玲菜も、ひかるも。そしてエイジさえも
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