プロローグ

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今度はリリィにも聞こえたらしくエイジから視線を外して階段の方を向く 実は、二人はここで待ち伏せをしているのだ 愛流はそのおとり役として、敵をこのポイントに誘導している エイジも目標の到着に備えて立ち上がった。……四足で 夜の廊下に反響して届いてくる足音を捉えた耳を、頭の上でピクリと動かす ちゅどどーん! 今度はすぐ上、2階から聞こえてきた。いよいよだ 立ち上がり臨戦態勢に入ったリリィがちらりと視線を投げてきた 『いくぞ』 『うッス』 エイジも目を合わせて、リリィの透き通る水面のような瞳に映った自分の姿を確認して頷きを返す 二人が隠れている階段を、奇抜な衣装の少女が駆け下りてきた あの服の主は後ろ姿でも分かりすぎるほどに分かる。愛流だ それに続いて足音 愛流を追って、また一人の少女が現れた エイジたちには気付いてない。今だ! リリィが飛び出すのと同時に、エイジもまた自分の役目を果たすために動き出す リリィの目に映っていたエイジの姿 三角の耳と、黒い毛並みのすらりとした体躯 人ではない、黒い猫だった ────
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