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「これで貸し借りはなしよ。次に私が勝った時、あなたたちの瓶を頂くから」
もしかして、昨日のことを言っているのか
なんとも律義なお嬢様だ。けれどそんなところに親近感を感じた
「次は、負けないッスよ」
エイジが笑顔で返すと、玲菜も微笑を浮かべた
「……」
玲菜が去ると、今度はリリィが歩み寄ってきた
うつむいて、その腕には例のぬいぐるみを抱いている
「リリィ?」
エイジの前まで来ても何も言わないので、その顔を覗き込みながら問いかける
「……負けた」
「うん」
「星の欠片、取られた」
「うん」
「……」
少女の肩が震えているのは、悔しさからか、それとも
「次は、勝とうな。一緒に」
エイジは、非力だ。けれど相棒として助けることはできる
出会った時、お前が必要だと言ってくれた少女と共にいることはできる
態度よりずっと小さな少女の頭を撫でて、エイジは満天の星空を見上げたのだった
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