猫と少女の魔法戦記

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「四朗、なんか今日は人多くないッスか?」 リリィはエイジの制服の裾を掴んで、愛流は何が面白いのか手を振っている 「おうよ、それそれ。そろそろ学園祭の準備に入るからな。みんなマスコットを狙ってんだよ」 それで疑問は解氷した。そういえば去年もあった 準備期間から果ては当日まで、意気を上げるため人気を出すために即戦力なマスコットは引っ張りだこなのだ 周りにいる生徒たちは先んじて動こうとして牽制しあっているのだろう 学園祭が近づくにつれて争いは激化するので、今のうちにため息を吐き出しておく 「そっかー、もうそんな時期なんだねぇ。星集めですっかり忘れてたよ」 「オレもッス。そっか、もうそんな……」 「学園祭って何するんだ?」 鑪帆の学園祭を知らないリリィはすごく純粋な興味を持ったようだ 「ものすっごいお祭りッスよ、リリィ」 少女の夢を壊さないためにそんなふうに答えておいた ──── 「そうか、ご苦労さま。残念だったね」 それは、風紀委員会室にやってきて事情を報告した後の司の言葉だ リリィはエイジの隣でむすっと黙り込んでいる 「次は頑張りまーす」 「うん、そうか」 こんな時、愛流の底抜けの明るさは救いだった 「でも玲菜さんも良い人だったッスよ。ひかるともいいコンビで」 ふと思いついて口にしたことだったのだが、隣のリリィに凄い勢いで睨まれる
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