愉快なきみ達

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「おいおい、なんだなんだよその顔は。まさかお前の一番の親友にして鑪帆学園2‐Bが誇る天才児である深城四朗を忘れたんじゃねえだろうな?」 返す言葉を考えていたのだが、おかげで説明の手間が省けた。ということで親友の四朗である 「忘れたわけじゃないッスよ。ただ、ちょっと頭が回んなくて……ふぁ」 「寝不足かよ? もしかして昨日もやってたのか」 エイジは昨日、夜遅く──今日の朝早くとも言う──まで学校にいた。そのせいで眠くて仕方がない 「お前も大変だな」 その辺の事情を知っている四朗はそう言ってエイジの肩に手を置いてきた 苦労を察してくれる友人の存在は素直にうれしい 合流した四朗と話しながら歩いて鑪帆(たたらほ)学園に到着した 同じような生徒たちが次々に校門を抜けていく。この街で2番目に大きな学校だけあって、通う生徒の数も多い 二人もその中に混じって校舎に向かっていると、エイジはあちこちから声をかけられる 「今日も大人気だな。鑪帆のマスコットくんは」 挨拶を返して忙しなく手と口を動かすエイジの様子を見て、他人事のように四朗が笑った まあ、実際。隣で眺めている分には面白いことだろう エイジは2年生で16歳。背も割と高い方だ なのに癖っ毛の髪と童顔のせいで妙な愛嬌があるらしく、みんなからマスコット扱いを受けているのだ 元々は、頻繁に接することでエイジの明るい性格を知るクラスのみでの立場だったのだが、あれよあれよという間に学園でその立場を確立してしまっていた 「ま、みんなに好かれてるってことはいいじゃないか!」 しかも、その裏で暗躍してエイジマスコット化を進めたのは他ならぬ四朗なのだ 「そりゃあ、なんか黒い感じにほくそ笑みたくもなるッスよね……」 「なんか言ったかー?」 マスコット扱いを受けるのは男として複雑なところで、そんなエイジの心境を知った上で率先して仕組む四朗は意地が悪い
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