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「おーい、お二人さん。揃って仲良く遅刻かぁ? ナニやってたんだよ」
教室に入ったエイジとリリィを最初に迎えたのは、四朗のそんな一言だった
次いでクラスメイト達の生温かな視線が集中する
「なにもやってない!」
「昨日の話してただけッスよ?」
リリィは何故かいきり立ち、エイジはそんな相棒の反応に首を傾げつつ答えて席に着いた
「昨日……ああ、派手に暴れたみたいだな。西棟3階から廊下を渡って北棟の1階まで続く破壊痕と第2講堂のクレーター。学園中その話題で持ちきりだぞ」
前の席である四朗が、声を潜めて教えてくれた。一応は周りを気にしているようだ
「アタシも結構ぶっ壊したしな。けどほとんどアイツの仕業だぞ」
エイジの隣の席に座ったリリィはあっけからんとしたものだ。話に加わるためにエイジのすぐ隣に椅子を寄せる
「でも講堂のクレーターはリリィッスよね。被害で言えば一番大きいッス」
「う、うっさいな」
リリィの小さな拳が飛んできた
つかまえて軽く握るとおとなしくなったが、代わりに頬を膨らませる。素で可愛らしい仕草だった
それを見ていたクラスメイト(主に男子)が唐突にバタバタと倒れだした
「なんだ?!」
女子も女子で、キャーキャー叫びながらリリィに群がり、撫でたり抱きしめたりとやりたい放題だ
その波に押されてエイジと四朗はその場を離脱する
去り際にリリィが助けを求めるような目を向けてきたが、当然エイジにはどうしようもない
片手を上げて謝っておき、話は後でと目配せしておく
今はホームルーム
だというのに我らが担任、杉先生はいまだ現れない
「平和ッスねぇ」
今日もこのクラスは賑やかだった
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