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この質問に対して、校長の表情が曇った。
校長「そ、その保護者の方が言われるには、前にも家出をした事があると言っておられましたし・・・。」
右京「前に家出をされたのは、いつの事でしょうか?」
校長「・・・一ヶ月程前だったと思います。」
亀山「割りと最近っスね。」
右京「その家出をされた原因は何か分かりますか?」
校長「さ、さぁ?そこまでは私は分かりませんが・・・。」
右京「そうですか。」
亀山「右京さん、担任の先生を呼んでもらった方が・・・」
右京「そうしましょうか。」
右京は校長に、軽く作り笑いを浮かべながら
右京「担任の先生を呼んで頂きたいのですが・・・。」
校長は、少し冷静さを取り戻していた。
校長「今は授業中でして・・・。」
右京「もちろん、授業が終わり次第で構いません。」
校長「では、ここでお待ち下さい。」
右京「ありがとうございます。」
軽くお辞儀をする。
その行動を亀山も真似る。
亀山「ありがとうございます!」
校長「・・・あの・・・。」
右京「はい?」
校長「私、今から行く所があるので・・・。」
右京「そうでしたか、お時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした。」
右京は立ち上がり、頭を軽く下げた。
亀山も同時に立ち上がり同じ動作を繰り返す。
校長「・・・ではこれで。」
刑事二人がその背中を見つめる中、部屋を出ようとした。
右京「あっ、最後にもうひとつだけ。」
思いがけない呼び止めに、何故か表情が強張る校長。
校長「・・・まだ何か?」
右京「携帯電話の番号と、メールアドレスを教えて頂きたいのですが・・。」
校長「えっ?」
質問をされた校長はもちろん、右京の相棒、亀山でさえも不思議そうな顔をしている。
そんな二人をよそに、質問をした当の本人は涼しい顔をしていた。
亀山「う、右京さん?」
右京「はい?」
亀山は、校長も知りたがっているであろう疑問を右京に投げかけた。
亀山「電話番号を教えて欲しいってのは分かるんスけど・・・。」
右京「『けど』・・・何ですか?」
亀山「あ、いや、なんでメールアドレスまで・・・?」
右京は、亀山の顔を見上げた。その表情はまるで、小学生に物事を言い聞かせる先生のようだ。
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