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「まだ痛ぇ………ギャグ補正がなかったら、確実に死んでいた。」
俺は登校中に唸りながら無惨に粉砕された横っ腹をさすっていた、ギャグ補正って偉大だな。
「まぁ…殺す気で殴ったからな。」
「………。」
恐ろしい事を言い出す梨華さんですが、梨華は俺の妹であると同時に1つ下の後輩でもあります。
「もう少し俺に敬意を払ってもいいんじゃないか?」
「兄貴に敬意を払うならその辺の犬に跪くね。」
俺の評価値はいつの間にワン公以下に成り下がったんだ、何かいっそ涙が出てきた。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。」
山田が1歩引いた立ち位置から仲裁に入った、俺の涙をひと言で済まさないでくれ…。
「そうだぜ、肋骨だって生活に支障はないだろ。」
「そういう問題じゃ…。」
「それじゃあお二人さんの邪魔しちゃ悪いから俺は先に行くぜ!」
俺の言葉を待たずして梨華さんは猛ダッシュで視界から消えた、別に邪魔ではなかったが…。
「梨華ちゃんは気が利く妹さんですぅ、あの子が私の義妹になるんですね!!」
あぁ…いつも通りの朝ですね、綾乃さんが現れてくれればまだ山田の言動に歯止めがかかるんですが。
「サトシさんww見てくださいww姫野カレンさんみたいなのがいますよwww」
「パワプロのヒロインは葵さんだ、でも聖も(ry」
「浮気ですね!?」
「ぎいゃぁぁああぁああ!!」
あばらに追い討ちを掛けられて登校早々に保健室に運ばれた俺、上なんとかさんばりの不幸さ、多分今の俺なら《幻想殺し》だって使えるはずだ。
「………ーーッ!!」
「ん、誰かいるのか?」
俺はやおら保健室のカーテンを開けた、自分でも軽率な行動だったと思う。
「あぁ……ぁぁ……ぅう!!」
「綾乃…さん……。」
カーテンを開けると綾乃さんがあられもない格好でおられました、着替え中だったのでしょうか…目に焼け付け……いやいや、早く何か弁解しなくては!?
「ずっと待ち焦がれてたんだろ!こんな展開を!フラグがたつまでの場つなぎじゃねぇ!メインヒロインが登場するまでの時間稼ぎじゃねぇ!!他の何者でもなく!他の何者でもなく!!」
「遺言は終わりか…。」
「いや、まだ半分くらいです…だから刀を下ろしてくださいっ!!」
問答無用でした。
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