154人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ…。」
溜め息をついてはみたものの、状況が劇的に変化する訳もなくいつもと変わらぬ帰り道である。
電柱があり、信号があり、坂道があり、家があり、俺の通った小学校があり、コンビニがあり…。
だが変化のない日常に絶望するほど俺の精神は貧弱ではない、むしろ俺はこう考えている。
平凡な毎日からの脱出こそが、我が人生の最終目標なのではないかと…。
「あの、すいません。」
「え、あ……俺?」
後ろから突然声をかけられた為少ししどろもどろになりながら振り返ると、そこには俺と同じ高校の制服を着た美少女がいた。
「え~と…。」
およそ高校生らしからぬ中学生のような体躯に、ショートカットの少女は依然として俺を見上げている。
制服の学年カラーを見る限りは同学年の生徒のようなんですが、こんな子は1度も見た事はなかった。
「どちら様?」
「好きです、付き合って下さい。」
人生の最終目標が果たされた、それを見出してからものの1分、カップラーメンすら出来ない時間でだ。
「いや、仰っている意味が良く分からないんですけど……。」
「だから付き合っ……。」
「そういう意味じゃないから!俺は初対面の人間に告白する事は非常識だって言ってるんだよ!おかしいだろ!?」
路上でこんな大きな声を出す事は憚られるべきなのだろうが、今はちょっと状況が普通じゃない。
「おかしいですかね?」
「おかしいね!大体、名前すら分からない相手に付き合えって言われてもね…。」
「私はサトコですよ。」
奇しくも俺と一字違いの名前、いや…そんな事はどうでもいい、ともかく俺は先程離縁した平凡に土下座をして復縁を申し込む事にした。
「貧乳ロリに興味はない(キリッ」
イケメンな俺はクールに断って先に平凡だと散々罵った道に足を向け、そのままスタスタと立ち去ろうとした。
最初のコメントを投稿しよう!