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「ふ~ん、つまりその子は部活の見学中の事故で気を失って、それであなた保健室に連れてきたと??」
「いや、まぁ…。」
俺は何故か床に正座させられ、見下されながら尋問されるという《我々の業界ではご褒美です》的な状況に陥いりました。
いや、俺は別にそういう歪んだ性癖とか全然ないしさ、あの…むしろ嫌みたいなとこあるし??
「本当に何もしてないのね??」
「はい、そりゃもう!!」
俺は脳震盪になる勢いで首を縦に振りました、するとそんな俺の必死さを余所に凛さんがこんな事を口走ったのです。
「まぁ…何といっても図書室で私を押し倒したけどね~、わはー。」
地雷原を三輪車で突っ走る凛様、多分悪気はないのだろうが…何という地雷娘、てかわはーって何だ??
「………。」
「喜多村くん??」
「はい、喜多村です……。」
もうだめだぁ、おしまいだぁ…今の俺では生徒会長さんの顔をまともに見る事も出来ません。
「まぁ…この子が言う事だから出鱈目だとは思うけど、女性にルーズなのはダメよ??」
「それは心外ですね…。」
しかしそこは生徒会長の器量とでも言うべきだろうか、凛の嘘(半分は本当だが)を見抜いて俺を疑う事もしなかったのです。
良かった、この学校に綾乃さん以外にまともな人がいたとは…何か知らんが涙出てきた。
「本当にありがとうございます、生徒会長さん…。」
「ちょっとちょっと~、私にも速水 葵って名前があるのよ、出来れば生徒会長はやめてほしいわね。」
《ハヤミ会長》という響きには確かに少しくらいは聞き覚えがあったが、俺は自分の学校の生徒会長の顔も名前も知らなかった。
確かに俺は生徒会には興味などありませんが、今まで知らなかった自分はやはりどうかしているのでしょう。
「速水生徒会長、あ、いや……速水さん??」
「葵さんでいいんじゃないの、ねぇ…生徒会長??」
凛が俺に助け舟を送ってくれた、さっき地雷を踏んだ罪滅しか、いや…凛の場合はそういうのではないだろうな。
「そうねぇ、喜多村くんにならいっそ呼び捨てでも構わないけど。」
「葵さんで手を打ちましょう。」
俺みたいなのが生徒会長さんを呼び捨てだなんて、これ以上俺にトラブルの要因を増やさないで下さい…。
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