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「それじゃあ、そろそろ私達も仕事に戻りましょうか。」
そう言って姿勢よく立ち上がる葵さん、仕事というのはやはり生徒会長としての仕事なんでしょうかね。
「え、怪我の治療は…。」
「怪我って言っても大した事はないでしょ。」
首根っこを掴まれて猫のように連行されていく凛、彼女もまた生徒会役員なのでしょう。
「喜多村くん、またね。」
素晴らしく綺麗な笑顔で小さく手を振る葵さん、逆の片手で凛を持ち上げているのが残念なポイントです。
「会長いい加減猫を被るのってあ痛ぁぁいやぁああ、ぁああぁあっ!!」
凛は何かを言いかけたあと急な激痛が走ったのか大声で叫んだ、やはり怪我がひどかったんでしょうか。
「…………。」
悲鳴が止まった。
「それじゃあね、喜多村くん。」
「あ、あぁ…はい。」
葵さんはまるで何事もなかったかのように、先ほどと同じ笑顔で俺に手を降って保健室を後にした。
「………。」
「ん、ん…………ここは。」
先程までベッドで寝ていたはずのちはや嬢が、いつの間にやら起きていたようです。
「お、起きたか??」
「ここは……保健室、あなたはここで私に何をしたの。」
その何かをした前提の話し方はやめていただきたいです、俺の評価値はいつの間にこんな暴落したんだろう…。
だが今思えばおかしくもない、俺がちはやに対してしてきた事と言えばおかしな事ばかりだった。
1.初対面で手を差し伸べる。
2.教室で押し倒される。
3.食堂で嘘について語る。
4.バスケ部を見学で気絶したちはやを保健室に連れ込む。
「………。」
お分かりいただけただろうか、相対的に見てもちはやの中での俺の評価は変☆態だという事です。
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