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咄嗟に逢莉は両の手に意識を集中させ、赤く燃えさかる炎を生み出すと、それを前後から迫り来る男たちへ放つ。
「きひひ!!同じ手は喰らうかよ!!」
だが、男たちは嘲笑いながら彼女の攻撃をかわしてしまう。
そして、異形爪の男が右手の爪を弾丸のように逢莉めがけて飛ばして来る。
「……どうやら思ってたより、雑魚じゃなかったみたいね」
その爪の弾丸を紙一重でかわしながら、逢莉は小さく舌打ちし呟くが、今度は刃の腕を持った男が襲い掛かって来る。
「死ねぇぇ!!」
「炎熱鞭っ!!」
左手に再び炎の鞭を生み出した逢莉が、それを襲い掛かる男へ勢いよく放つ。
先程の、枝分かれした鞭・紅蓮乱舞(グレンランブ)とは違い、炎熱鞭(エンネツベン)は一本の太く長い炎の鞭だ。
そして、紅蓮乱舞は炎熱鞭の進化型でもある。
「ぐぁっ!!」
しなやかに伸びた炎熱鞭が、男の右足を絡め取り、地面に引きずり倒す。
そして逢莉は、空いてる右手にも炎熱鞭を生み出し、異形爪の男めがけ再び放つ。
「ちっ!!このくそあまぁ!!」
「いい加減に往生しなっ!!舞い踊れ、紅蓮乱舞!!」
異形爪の男が咄嗟に身を翻しかけるが、詠唱した逢莉の右手の炎熱鞭が、次の瞬間、二股に枝分かれし男へ放たれる。
意思を持ったように、異形爪の男の両手両足を絡め取った。
「ぎゃあっ!!」
同じように地面に引きずり倒された異形爪の男が、醜い悲鳴を上げる。
「勝負あったわね。本気で燃やされたくなかったら、抵抗するんじゃないわよ」
そう鋭く睨み凄んだ逢莉に、男たちは完全に牽制されてしまう。
悔しげに舌打ちした男たちが、吐き捨てるように言い募る。
「けっ、この偽善者が!!俺たちは紅月に選ばれた能力者だっ!!特別な存在なんだよ!!」
「なんですって?!」
聞き捨てならない言葉に、逢莉が男たちを睨み据える。
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