2.必然とか偶然とかそういうレベルじゃない

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ピピピピピピピピ―――――――ッ…ガンッ 志村家の朝は、唯の目覚ましの音とそれが破壊される音で始まる。 『あー…高校の事考えてたら全然眠れなかったくそぅ』 ぶつぶつ文句をたれながら、寝ぼけ眼でリビングへ向かう。すると、玄関にいるらしい兄ちゃんに声を掛けられた。 頭がまだ冴えないまま、ボーッと声がする方へ顔を向ける。 「あ、唯おはよう。朝ごはん机に置いてあるからね」 洗いたての制服を身にまとい、学ランの第一ボタンまでしっかりと閉めている兄ちゃん。 地味だ地味だなんて言われてるけど、私はそんな兄ちゃんをかっこいいと思う。 あ、もちろんブラコン代表の妹からの視点だけどね。 『兄ちゃんもう出掛けるのー?』 ふぁーっと大きな欠伸をして、兄ちゃんに問いかける。 「うん。三年生は唯たち新入生の入学式の準備があるからね」 『そっかー…残念。兄ちゃんと学校行けると思ったのにー』 「ははっまた学校で会えるでしょ?それに唯には先約がいるじゃないか。じゃ、いってきます」 『?…いってらっしゃーい』 先約って…なんだっけ? 私誰かと約束した…? ……ま、いっか。 そうして兄ちゃんを見送ってリビングへ向かう。 もう姉ちゃんは着替えもきっちりすませて席に着いていた。 .
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