未来の大将

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星野夜空はJのいる店に向かっている。 空は切り裂きさかれ光の尾となり派手に散った数ある内の一筋がすでに夜空の運転する車内の中へスポーンとおさまっていた。高速へと上がりはじめる頃、車内にはすでに一働き終えてきたその霊がかなりリラックスして後部席で音楽を聞き入れながら外の夜景を観てドライブを心地よく楽しんでいる。なんだか現代人より現代人っぽい。ニヒルで気が若そうな中年の男…しかも着物姿で。死後霊になってから現代までの移り変わりも、歴史もよく知っている。見聞きするだけで知っていても触れる事も声が届く事も今までは出来なかったのだが今は違うらしい。2人はバックミラーを見たとしても後席の姿はまだ見えてないようだ。 霊は後部座席の灰皿からよれよれの吸い殻を見つけ出しライターを眺め、しばらくして見よう見まねに不器用そうにライターの火をつけて吸い出した。 夜空:「さっき吸ってたのにまたタバコ吸うのカョ?窓開けたくないから今吸うなサブィ」 A:「(クスッと笑いながら…俺吸ってねーよ」 夜空「こもってるな…まだ匂うぞ…仕方ない開けるぞ。サブっ」:吸い方がわからずシートに寝そべりスパスパふかしていた。 霊は煙りをおもしろがってAに煙をふかす。 A:「わっ !わっ!」 後ろ髪を叩きながら慌て後ろを振り向く。が居ない。その繰り返しだ。 A「オィ何悶えてんだ!」 そのうちに大きく吸って咳き込み出す声が聞こえた。ゲホゲホッ 星野夜空とAの背筋が立った。一瞬、顔を合わせ…同時に大声で叫びまくる。2人共まだバックミラーを見ても後席の姿は見えない。 A:「俺とお前しかいないよな」!!夜空「幻聴だ」 煙草が短くなると霊も慌てだした。 霊:「水だ水だー」!! A:「わっわっわっわーーー」!! 夜空:「あーーー」!!3人一声に驚く。 霊:「水だと言ってんのに聞こえんのかーー!水だ水だー!!」 夜空:「ハイッ」!! 夜空がAにペットボトルを渡しAも目をつむりながら後部にまわした 霊:「(笑顔で)カタジケナィ」水を飲んで霧吹き。 A:「カタジケナィだとょ」 夜空「知らねーよ!!」 2人は加速して声が枯れるまで大声で叫びまくった、幽霊だ Aと夜空:「わーーーーー」!! 2人をよそに 霊:「俺って祖父似かもな(クスッと独り言)…火の用心とzzz」 眠りだす始末。
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