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 鍵を開け、暗い家の中に入っていく。きしきしと小さな音を立てながら階段を上がり、寝室に入っていく。  少し距離を置いて並ぶベッドの一つに、寝息も小さく眠る妻がいる。  私はスーツを脱ぎ、下の浴室に向かう。シャワーだけを軽く浴び、寝酒に軽くブランデーを引っ掛けてから、ほろ酔い気分で二階に上がると空いた冷たいベッドに潜り込む。脇のサイドテーブルに置かれた目覚し時計をセットして、天井の丸いライトを見つめながら、いつの間にか眠りに落ちていった。  耳元で甲高い電子音が鳴り響いている。さっき眠ったばかりのような気になりながら、時計の音を止めて時刻を確認する。確かに六時三十分である。カーテンから洩れる光からも、朝であることは確認できた。  私は妻のベッドに視線を落としたが、きちんと整えられたベッドには、人の気配は無かった。
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