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近くから耳障りな音が聞こえる。
音は鳴り止むことなく、高い音を放っている。
「…………うるせぇー」
音の原因を探ろうと手をフラフラと動かす。
朝っぱらから何なんだよ?
ようやく、音を出している元を見つけたが、音が止むことは無かった。
「この……うっるせぇ!」
何かが砕けた音が聞こえた。
「何なんだよ、全く……ってやっちまった」
質素で最低限の物しかない部屋の角に時計の残骸が散らばっていた。
「って朝……か。時計は――俺が壊したんだな」
仕方なくいつも寝る前に枕元で充電をしている携帯を開く。
現在時刻: 7:49
「まだ起きるには早い時間か」
でも何か目が冴えちまったな。
起きるか。
俺はベッドから出て、自室から出て行った。
着替え? そんなのめんどくさいから寝る時は明日着ていく服で寝てるさ。
春――
曇り無き、澄み切った空、そよ風が吹き、暖かい日差しが降り注ぐ。
気持ちいいぐらい清清しい朝。
俺は、リビングで朝のニュースを見ながら朝飯を食べている。
「嫌な気分がすっ飛ぶほどいい天気だな」
窓の外を眺める。
小鳥たちが元気に歌いながら踊ってらぁ。
どこの吟遊詩人だ……俺は。
テレビから相変わらず元気なお姉さんの声が聞こえる。
『今日の山羊座のあなた!』
お、俺の星座だ。
『大変な出来事に遭遇しちゃうかも!? でもそれがあなたを変えるきっかけに!? ラッキープレイスは校門だよ! それじゃ今日も1日がんばろーっ!』
大変な事か……
ま、占いだしそこまで信用してもしょうがないか。
「ちょっと早いけど、もう出発するかな」
俺は自室へ制服を取りに行った
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