第一章 思惑と邂逅

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 創暦10年夏。  世間は創暦十周年を祝い、世界は活気が満ちている。その中でただ一人顔をしかめている青年がいた。年は17。年齢的にはまだ少年だが、身体の風貌がどう見ても青年のそれにしか見えない。  しっかりした顔付き。引き締まっているが何処か柔らそうな筋肉。トドメに女性が羨みそうな灰色の髪の毛。ちなみに後ろ髪の長さは、腰に届くか届かないかで、首筋の少し上辺り一本にして纏めている。  そんな青年はため息をしながら今の現状を考える。  朝、過去の夢を見て魘されながら起きたのは分かる。しかし、それから分からない。なんでここに居るのかも、なんでここで寝ているのかも分からない。 (確か、家のベッドで寝たはずだ……クソッ、いったい何がどうなっていやがるんだ……!)  混乱したままでは分かる状況が分からなくなってしまう。そう思った青年はため息をつきながらも、自分を落ち着けるように自分の心臓に手を当て、目を瞑り、精神を集中する。 (そういえば、師匠が〔落ち着きたい時にはこうするといいよ〕とかなんとか言ってたな……。でも、確かに少しは落ち着いたらかもしれん)  徐々に頭の中もクリアになっていくのを感じながら目を開ける。先程の混乱した頭では分からなかったが、今なら分かる。  ――ここは牢屋だ。  真っ暗な部屋、先程まで寝ていた薄汚れているベッド、脱走させないように作られている鉄の棒。寧ろこれを見て牢屋ではないとすればここはいったいどこなんだ? と聞きたくなってしまう程、もう雰囲気からなにからなにまで牢屋だ。
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