第一章 思惑と邂逅

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「はぁ……本当にいったいここは何処なんだ……?」  とりあえず自分に落ち度がないか再確認してみる。  いつものように夕方まで学校に通い、いつものように家に帰り、いつものように“とある計画”を実行する為に準備をしていた。そして、準備も一段落したところで睡魔が襲ってきたので、それに逆らわずベッドで眠りに落ちた筈だ。そして、目が覚めたらここに居たというわけだ。 (寝ている時に誘拐でもしたのか? だが俺を誘拐する意味が…………ああ、あるな。果てしなくあるな。ハァ……)  心当たりがあり過ぎてため息が出る青年。こうみえてもこの青年は【評議会議会長】の息子なのだ。おそらく誘拐したとするなら、金銭目的か議会長、つまり青年の父親への牽制が目的ということになる。  しかし分からないことがある。何故通学中や帰宅中に狙わないのか。何故自分が寝静まった時に拐ったのか。そこが一番引っかかるところだ。 (まさか“計画”賛同者に裏切り者がいるのか?)  それでは何故その場で殺さなかったのだろうか。謎が更に謎を呼び、頭の中がショート寸前。  なので一旦、この事柄についての思考を停止し、ここから脱出出来ないかどうかまた周りを確認する。  鉄の棒がある場所に一瞬、光る何かを見つけた。何があってもいいように、ゆっくり警戒しながら近付き、光っていた何かを拾う。
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