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路恵が体を起こして、はねこの頭を撫でてやると、口を三角にしたはねこは、台形の尻尾を振ってみせる。
「どっか、行こうか」
「どっか?」
路恵がテレビの方に視線をやると、はねこもつられるようにそちらを見る。今はコマーシャルで、先ほどまで映し出されていたものは見えない。
路恵ははねこに視線を戻して膝を抱える。
「さっきのあそこは無理だけど、近場なら、なんとかなるわよ」
「え、でも、あの」
「いいの。あたしが行きたいから」
そう言えば、はねこはやっと笑って見せた。
路恵がシャワーを浴びている間、はねこはドア越しに、テレビで観たアトラクションを語っていた。楽しそうに話すそれを聞きながら、路恵も笑い声を上げていた。
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