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「あの…何で俺に?」
「その、お願いできる年頃の方が知り合いに少なくて…」
かぁと顔を赤らめるベルに、俺はなるほどと納得した。
ベルのいる聖ベルナデッタ神殿は人数が少ない上に、高齢な神官が多いし、若くても年下の子供ばかり。ベルとしては頼みづらいのだろう。
その点、俺は歳近いし、既に幻獣契約をすませているから、付き添う人間としては頼みやすいのだろう。
「ユウさんは、なんと言うか気兼ねしなくていいし、安心感があると言いますか…そのお願いできますか?」
「…23日だな。予定を開けておく。」
「じゃあ、」
「ああ。一緒に行くよ。よろしくなベル。」
「こちらこそ!お世話にならます!わあ、嬉しい。有り難うございます。ユウさん」
とても嬉しそうに微笑むベルに、俺も微かに顔を緩ませた。
…ん?ちょっとまて、これってデートじゃね?
だって男女が二人っきりで何処かに出かける=デートだろ?
ヤバイ顔が真っ赤になる。女の子とデートするのは初めてだ。うわぁ緊張するなぁ
浮かれる気分を抑えて俺は、息を軽く吸い込む
落ち着け、俺。これはデートじゃない!これはデートじゃない!これはデートじゃないッ!!
はい、オッケー!
気合いを入れ直すと俺は再びベルに目を向けると、テーブルの上のマカロンを取ろうとベルは手をさ迷わせていた
「何味が良い?」
「あ…すいません。えと、じゃあキイーチのマカロンを、」
その言葉に従い、俺はピンクのマカロンをベルに手渡した。
キイーチは、こちらで言う木苺の事だ。初めて食べた時は、苺に練乳をかけたような味の木の実で、スゲー甘い。
でも、甘党や女子は好きな味だろう。ベルも好きなようで、美味しそうにマカロンを頬ばっていた。
「…ベルは、契約したい幻獣っているか?」
「とくには。でも、もしわがままが許されるなら大きな熊さんが良いです。」
「く、熊?」
「お父様みたいに強くて、おっきくて、毛むくじゃらで、柔らかな生き物だと、ミゼル様が教えてくれました。」
…セバスティアノ三世、毛むくじゃらな熊だったのか。
会った事もない国王の容姿に、ガラガラと優雅な王族のイメージが崩れていく。
「そうか…」
「あ、でも契約してくださる幻獣さんならこだわりは特にないです。」
そう、はにかんだ笑顔を浮かべる、ベルに俺は出来るだけ彼女の希望を叶えてあげようと決心した
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