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「え、え…じゃあ、ユウさんは…」
「間違いなく、司教資格を得ることができる聖人だよ。アルサイールでは、神官長クラスかな。普通なら神殿に奉仕しててもおかしくない。」
信じられない、と言う顔のアイルに俺は頬をかきながら目線を反らした。
ハニシア先生が司教な時点で、俺もそれ思うから、いいけどさ。
「…あの、なんで魔導師になったんですか?」
「そう言えば…言いかけてたな。それ」
確か、前はスカウトされた時だな。(※137P参照)ジブリールだから国の魔導師になったのかとか言う質問だった気がする。
「俺が魔導師になったのは…生きるためだ。」
「生きる…ため?」
「そう…俺はこの世界で生きていくには凄く弱くて、でも魔術なら俺にも使えるし、自分の身を守ることもできる。だから生きるために義父のセイジュから魔術を教わったんだ。…セイジュ曰く物覚えが悪い方らしいから…凄い苦労したがな。」
「え…そうなの?」
セシルは意外そうな表情で俺をみた。確かに最年少で魔導師資格取ったけど、そこには血を吐くような努力があったんだからな!
セイジュと出会った頃の事を思い出して内心、笑うと俺はセシルに頷いた。
「まあな、だから、がむしゃらに勉強して、気がついたら魔導師になっていたんだ。」
「……。」
「血の滲むような努力して、俺はここにある。…そう言おうとしたらサジータ皇子がペイルに連行されてしまって…いろいろと巻き込まれたな。」
「…す、すみません。」
「…気にするな。で、どうするんだお前ら。」
サジータ皇子とアイルが入れ替わってたとなると、外交面で弊害がでてくるだろ。ほら、国の体面とかあるじゃん。偽物が会議の席についてたなんて知ったら、政務庁の奴らとか元老院とか五月蝿そうじゃん。
「入れ替わりを解いて、一から交渉をやり直そうと思う。」
不安そうに見上げるアイルの頭を、サジータ皇子は撫で、静かに答える。
「交渉の席につかないと言ってきたらどうします。」
「否やとは言わせません。私達の入れ替わりは警備上の問題があり、仕方なく入れ替わったものだ。それに今回の暗殺騒動にラクシュ王室が絡んでいる以上、彼方も余計な藪をつつきたくはなかろう。」
暗殺騒動でサジータ皇子を拘束し処刑しようとした手前、ラクシュとしては分が悪い。その上、王室も絡んでいるとなれば元老院から、うやむやにしたいと言ってくるだろう。
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