※血路を開く閃光

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それに加えて正式手順で交渉を一からやり直したいと、サジータ皇子から謝意を込めて申し込めばこちらとしては体面も保たれるし文句は言えないか… 「…ふむ。そうなりますと予定も、滞在期間も延長化することになりますな。」 苦笑するミゼルさんに、サジータ皇子も流石に申し訳ないと頭をさげる 「すまない」 「…いえ。こちらにも咎がある以上、文句は言いますまい。」 そう言うと、ミゼルさんは俺とセシルをみて笑みを浮かべる 「さて、ここからは私の出番のようだ。セシル、ユウ君、今日は疲れただろうゆっくり休みなさい。」 「…はい。」 「…では、失礼しました。」 ここからは政治が絡むのだろう。一介の教師と警備隊員が首を突っ込んではいけない、そうミゼルさんにやんわりと促され、俺たちは部屋を出ようと歩き出した。 「あ、あの!」 ふいにアイルに呼び止められ、俺とセシルは振り向くと、アイルとサジータ皇子は寄り添いながら、はにかんだ笑みを浮かべた 「あの、セシルさん、ユウさん。お二人のおかげで…殿下をお救いする事ができました!本当にありがとうございます!」 「…こうして、生きていられるのは、君らのおかげだ。感謝する…願わくば君達が私の側近としてアルサイールに来てくれたらと思うが…どうやらそれは叶わぬ夢のようだ。」 …俺たちを側近に勧誘する気だったのか皇子。 ツッコミたくなったが、俺はあえて黙って、皇子の言葉に耳を傾ける 「もし、アルサイールに来る機会があれば、我らが便宜をはかろう。恩返しとは言えないが、少しでも君達に報いたいと思う」 「…また、いずれ御会い致しましょう。」 キラキラと光る仲よさげな二人に、俺は隣のセシルをチラリとみる。 若干、涙目な友人に思わず目をそらす。セシルのあのハリキリようはアイルに良いとこ見せようとか、助けてあげたい!という下心があったに違いない。 結果は二人をくっつけるキューピッド的な損な役割になってしまい、セシルの内心は「リア充なんて爆発しちまえ!」的なものだろう こうして、帝国の騒動はセシルの失恋と共に終結した。 余談だが、あの後寮に帰ると亀甲縛りをされた暗殺者(?)とルシル先生、ハニシア先生が三人揃ってニコライ先生に正座させられ、説教を受けていた 俺とアーネス先生もその列に加わる事になってしまい、こっぴどく叱られてから就寝することになったのであった。
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