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「大丈夫か?」
「は、はい。」
俺は今、実に至福なひとときの中にいた。
広がる美しい大自然。明るい日差しのなか、可愛いい女の子と二人っきりなシチュエーションに胸が高鳴る。
彼女の手を握りしめ、マイナスイオンを出している森の中を、時間も仕事も忘れてゆっくりと満喫していた。
(ただしデート…じゃないけどな!)
そう、現在俺たちが来ているのはキフィフス神が創造した世界、幻世(ルーレ)
既に幻獣と契約している俺が何故、ここにいるかと言うと、付き添いだ。
今日、ベルは暁の盟約、つまり幻獣との契約のために幻世に来ている。
ベルは目が悪いので、俺が付き添いとして随行しているわけだが
(…可愛いい。)
馴染みのシスター服ではなく、淡いピンクのワンピースに、ロングブーツ姿のベルは半端なく可愛いくて、内心ドキドキ状態だ。
「…あのユウさん何か来ます…」
耳を澄ませて、辺りをキョロキョロと警戒する、ベルを背中に隠し、俺は警戒する
どどどッという複数の足音がやがて聞こえ、ベルを抱き上げ、大樹の根元へ移動させると、ベルを抱いたまま、それが通り過ぎるのをまつ
「…ユウさん」
男がこんなに近くにいるのが恥ずかしいのか、顔を染めるベルに、大丈夫と宥めると、こちらにやって来る群れの正体に視線を向ける
水晶鹿(デアーズ・クリア)
名前通り水晶の角をもつ鹿の幻獣で、階級は弐騎(レニング)、中型系幻獣だ。
こいつらがいると言うことは、
「ベル、どうやらここは水属性幻獣の生息圏(フィールド)のようだ。」
その言葉に、ベルはキュッと俺のローブの裾を握り、緊張した様子で唇を噛む。
水晶鹿は水の綺麗な場所を好み、生息する。あれだけ大量に存在すると言うことは、ここには水属性の幻獣が多く生息している可能性がたかい。
俺が最初に到着した雪山に比べたら、契約する幻獣も選びたい放題だ。
しかし、ベルがどの属性の幻獣と契約したいかによって、この地を移動しなくてはならない。
生息圏は、各属性ごとに存在しており、ここは水属性の幻獣しかいないのだ。
ベルが他の属性の幻獣と契約したい場合、移動するしかない。
ふと、俺は2週間前のベルとの会話を思い出した。
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