再び幻獣界へ

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しかし、水属性の幻獣で熊と言うと 《雪王熊(スノウド・ロップ)しかいませんね》 脳内に響く、契約獣・フェンネル一家の 婿、セージの言葉に俺は眉間に皺を寄せた。 雪王熊(スノウド・ロップ)…花の名前に似ている名前の幻獣だが、階級は淕聖(インソニア)… 水属性の幻獣の中でも知性があり、水の賢者と呼ばれる巨大な白熊だ。 背中には氷央石と呼ばれる絶対零度の溶けない氷を角のようにはやし、噛んだものを一瞬で凍らせる吐息と、噛み砕く強靭な牙をもつ 危険度ランキングにブッチギリに入っている、凶悪な幻獣だ。 正直、ベルとは契約させたくない幻獣でもある。 「あのユウさん…そろそろ降ろしてくれませんか?」 「あ…ああ。」 抱き上げたままのベルを、丁寧に根本におろすとベルは顔を赤らめたまま「ありがとうございます」とお礼を俺に言ってくれた。 「…ユウさんも水属性の幻獣さんと契約しているんですよね?」 「…ああ、セージと言う。」 「…水属性の幻獣と契約するとどうなるんですか?。」 その問いに俺は、水属性幻獣の特性を頭に纏め、出来るだけ分かりやすく伝えようと考える。 「…水属性の幻獣と契約すると、水を使う作業ができるようになる。例えば洗濯や皿洗い、畑の水やりとか。あと、水の中でも呼吸をできるようになって、いろいろと便利だ。他属性に比べて比較的温厚な幻獣も多いし、初心者向けではある」 「初心者むけですか…なら私にぴったりですね!」 エヘッと微笑むベルにそうだねと答えられず、「…そんなことはない。」と曖昧な返事を返すと、俺は再びベルの手をとり、森の中を歩きだした。 《盟約により雪王熊は襲っては来ませんが、気難しい上位幻獣なので出会わければ良いのですが…》 (その時はその時だ。) 俺はベルの手を引きながら、どうか雪王熊に出会いませんように。と心から祈った。
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