プロローグ

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だがそこには小汚い路地裏には似つかわしくない人影があった。 =二人目の少女の姿 ブラウンのボブ。 落ち着いたダークブラウンの瞳。 その手には一本の日本刀。 =切っ先が月光を鋭く反射し、男の恐怖を助長する 女の子らしい口調と声音が語りかけてくる。 「ダメだよオジサン。万引きは犯罪だよ~?」 背後からも少女の声。 「あ~あ。追い詰められちゃった」 意味合いは異なるが、前門の虎、後門の狼といった具合。 男は壁際に追いやられた。 「お願いだ!殺さないでくれ!!」 男は情けない顔と声で懇願した。 すると二人はキョトンとして口を開いた。 「別に殺さないよ?警察には引き渡すけど」 =セミロングの髪が愉快そうに揺れる 「逃げなければ痛い思いもしないよ~?」 =少女の日本刀が鞘にしまわれた。 男は全くどうにもならないと悟って、最後には素直にお縄を頂戴したのだった。
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