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ルシフィウス自治区南部、リッチランド《肥沃な地》と呼ばれる繁華街。
かつてはルシフィウス王国の首都であり、城下町だったこともあり、人の姿と喧騒は今も絶えることなく賑わっている。
道々では出店や屋台が迫り出し、店主が声を張り上げて客寄せをしている。
そんな一世紀程古めかしい街並みの中を二人の少女が仲良く闊歩している。
「ねぇアクル~!あれ美味しそうだよ!」
片方の少女が口を開いた。
ライトブラウンのボブカットが陽気に跳ねる。
指差す先には卵白と砂糖、シロップにゼラチンを合わせたお菓子を売っている店があった。
「ダメだよミリア!さっき蜜パン食べたばっかりじゃん!」
隣を歩くアクルが否定。
すると少女━ミリアはしょぼ~んという顔になってしまった。
あまつさえ目尻にうっすらと光る物まで……
「うほっ……!」
芳しい百合の矢がズギャッとアクルのハートに直撃。
45口径穿徹弾の数十倍の破壊力を持つその矢はアクルの頑なな決心を脆くも儚く崩してしまうのだった。
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