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「おはようございます。では、朝礼をはじめます。」
ハキハキとした声が、社内に響く。
入社後、初の朝礼に、市ノ瀬愛は緊張しきりだった。
無理もない。新卒でこの会社に入社してきたのだ。
会社というものの雰囲気に、不慣れなのは当然だった。
「それでは、新入社員を紹介します。総務に配属となった、市ノ瀬さんです。…では、一言お願いします。」
「おはようございます。新しく入社した、市ノ瀬です、いたらない点が多々あるかと思いますが、ご指導のほど、よろしくお願いします。」
愛はなんとか、無難にまとめた。
愛の隣には、同い年くらいの新入社員が一人いた。
「では、相田さん…。」
「はい。みなさん、おはようございます。相田千夏と申します。肩が広いのですが、水泳はやっておりません。筋肉の発達はよいのですが、頭脳の発達にはいささか疑問が残りますので、みなさんどうぞよろしくご指導ください。」
彼女のギャグを織り交ぜた挨拶は、皆の心をつかみ、一気に場が和やかになった。
愛は、少しだけ負けた様な気がして、小さく舌打ちをした。
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