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専務室を出た二人は、並んで歩きだした。
相田千夏は、愛の方を向くと、
「私、相田千夏。部署は違うけれど、よろしくね。」
にっこり笑って言った。
キャリア採用された千夏の方が、あきらかに荷が重かった。
それでも、表情をくずしたのは一瞬で、笑顔をたやさない千夏に愛は尊敬の念をいだいた。
「僕は市川幸太です。よろしく。」
差しだされた手に、いささかとまどった。
そんな愛に市川は
「あ!ごめん。僕、海外に留学経験があるもんで、つい…。」
市川の慌てように、愛はクスッと笑うと、手を出して、二人は握手をかわした。
「それから、君の先輩で経理を担当している、室山さん。」
少しふくよかな感じの女性社員が、軽く会釈をした。
「後は室山さんに、会社の説明とか受けて。僕はちょっと部長に呼ばれてるから。」
室山さんに目配せをすると、市川は部長席の方へ行ってしまった。
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