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「じゃあ、市ノ瀬さん。会社について説明するので、あちらに移りましょう。」
室山さんの後について、愛は隣の部屋に移動した。
会社の歴史、事業内容、服装、髪型に至るまで、こと細かな説明を受けながらも、愛の頭は、知らず知らずのうちに市川の事に考えを巡らせていた。
「やだ。ほこりだわ。」
室山の声に、ハッと我にかえる。
彼女がテーブルの隅をすっと指でなぞると、見えるか見えないかというほどの、ほこりが指についた。
それから、室山さんは、愛の頭の中を見透かしたように言った。
「市川君、いい男でしょ?今、25才だけど、うちのホープよ。現に総務課長だしね。将来は社長になるんじゃないかって、言われてるからね。仕事が出来る上にあの容姿でしょ?でも、彼女はいないみたいよ。」
愛は室山さんの軽快な話ぶりに驚きながらも、相槌をうった。
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