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クレスの頭の上近く…壁から突き出た一筋の光。
「うわぁ…」
光は見えないが、頭の上に【熱】を感じたクレスは後ろの壁まで急いで後退する。
ジジジジ……。
何かが焼けた匂い…。
「まさか…壁を切ってるのか?」
しばらく止まないこの音と匂いを我慢しながらも、クレスは期待に胸を膨らませる。
『ようやく助かる…』
だが同時にもぅ一つの考えが頭をよぎる…。
『本当に助けに来たのか?味方だって保証はあるのか?』
クレスは自分に自問自答しながら、壁に向かって身構える。
「確かに。味方なら助けに、敵なら殺しに来たのかもな…だがみすみす殺されるような事はしない…俺は生きる。そして記憶を取り戻す!!」
ジジジジ…ジジジジ…。
音が止み…そして壁が勢いよく倒れる。
バタンッ!!!!
「お前達は何者だ!!何しに来た…俺を殺しに来たのか?」
開いたと同時に怒鳴りながら、音がする方をジッと見ながら考える。
『我ながら…いきなり威嚇するなんてな。だがいい…吉か凶か…俺の命運はどうだ?』
「だ…大丈夫ですか?僕達は助けに来ただけですから…」
「だけどいきなりキレられてもねぇ…それより早く【あれ】を渡して!!その為に来たんだから」
「【あれ】だと?」
会話がまったく噛み合わないが…男と女の声がクレスの耳には確かに入ったのだった。
闇が…終わりを迎えた。
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