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俺は何の変哲もないただの高校生だ。魔法とかそんなものは非日常だと割り切る年になってしまった。其でもこの乾いた日常が変わるのなら…と異世界へ旅立つのもアリかと思っていた。両親は何年か前に亡くなり、ただ一人の家族だった妹も突然行方不明となった。だから、この世界には未練もない。
って言ってもそんな事は無いんだけどな。
だが、そんな俺の思いとは裏腹に俺は来ちまった。
「で、此所は何処なんだよ?」
「説明は後だ。先ずは魔王様の元に向かってもらう」
目の前でそう話しているのは、どうやらアーシャと言うメイドらしい。フリフリのエプロンドレスのような服に首までの余り長くない桜色の髪、その上にカチューシャがのっていて目付きは鋭く誰も近付けさせないような冷たい空気を纏っている。どう見たってメイドに見えない。
「なあ?マジで魔王とか言う奴の所に行くのか?」
「当たり前だ。その為に人間、貴様を呼んだのだ」
「はあ……左様ですか」
そう、俺はどうやら魔王様の為に呼ばれたらしい。
時は戻り数時間前…
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